「水曜に取り寄せたお酒で土日(週末)を楽しむ」がモットー(志向)。
毎日をゆるく生きる水取 日土志の緩ライフを毎週ゆる〜くご紹介。

さて、今週はどんな緩ライフを過ごしているでしょうか……

今週の晩酌酒 vol.88

吉田蔵/U yoshidagura 山廃純米無濾過原酒

これが山廃?! 完全なるテロワール化を目指す
若きプリンス杜氏の進化系山廃純米



ユーユーユー
夢の続きを♪



歌い出し “ それは九月だった〜♪ ” って、
まだ八月だし……。
それにあまりに暑過ぎて秋が来るとも思えない。
そんなすみれセプテンバーラブ……。


「すみれ September Love」は、
1982(昭和57)年にリリースされた一風堂のヒット曲。
一風堂って博多系のあのラーメン屋?!
と勘違いされることもしばしばだが、
和製デヴィッド・ボウイ(※1)こと
土屋昌巳率いる音楽バンドのことである。
(※1:ジュリー派も多いが本命は土屋さん)

のちにヴィジュアル系バンドの
SHAZNA(シャズナ)が同曲をカヴァーし、
(1997年/BMG JAPAN)
こちらも大ヒット。オイラの世代的には
こっちのほうがよく知っている。

いずれも名曲だが、
特にオリジナルのほうは現代においても
全く古臭さを感じさせないニューウェーブ調の楽曲で、
歌詞のハマりかたも半端ない。
ちょいアレンジして
坂道系アイドルに歌わせでもしたら
きっと三度目の大ヒットとなるに違いない。

だって、SHAZNAのカヴァーでさえ早21年前。
どうせ若者は知らない。
早晩何食わぬ顔でリリースすべし。
さすればオイラも新人に知ったかぶりが
できるというもの。
たはは、我ながら小物。

じゃあさ、ユーはユーでもこれは知っとるかぃ?!
吉田蔵の 「U」 をさー。



吉田蔵/U yoshidagura 山廃純米無濾過原酒

ヤス吉田氏(吉田酒造店・杜氏)


720ml はこちら 1800ml はこちら   

ご登場ついに5度目。
北陸のプリンス杜氏「ヤス吉田」氏。
日本酒イベント『若手の夜明け2018』で
ひさぶりミスターに拝謁。
お忙しいところ恐縮しつつ
果敢にインタヴューを敢行。

日土志:
この商品って以前は季節限定だったと
思うんですが、なぜ定番化されたのですか?

ヤス吉田氏
(以下敬称略):

「U」と同じ読み方で「You」という
商品を造っていて、同時期にリリース
していたのですが、「U」の山廃に対し、
「You」の造りは速醸でした。

石川を代表する能登杜氏集団が得意と
するのは昔ながらの山廃造りです。
父(現社長・吉田隆一氏)とも話したんですが、
オール石川を目指す中で「U」の山廃に絞り、
その上で自分たちの姿勢を表すような
お酒に位置付けたいと考えたからです。

日土志:
なるほど。
オール石川というのは?




ヤス吉田:
石川で生まれた酒米や酵母を使用することや
そうした原料の地元産へのこだわりと
地元で培われてきた伝統の山廃製法で造ること。

どれも石川の風土があってこそ、
石川の風土の上に成り立つもの。
つまり、オール石川というのは
完全なるテロワールを目指すことです。

日土志:
テロワールの本質的な意味合いですね。
すごい! 聞くだけでワクワクします。

だけど、オール石川と言葉を変えると
途端にハードルが下がって
親しみやすさを感じられる。
いやはや、実にありがたい話ですが、
この「U」にはその重い使命が与えられていると。

ヤス吉田:
僕らは地元の原料と技から造られる
伝統の新しいスタイルを目指しています。

新体制を敷いてからは
古さや固定観念からの脱却を
常に模索していて、今も進化の真っ最中、
「U」が進化の過程を表現していきます。

日土志:
石川の酒米「石川門」と「金沢酵母」、
仕込み水は白山系手取川の伏流水で、
製法は伝統の「山廃造り」だけれど、
アルコール分13%の純米原酒ですか。

本当に“伝統の新しいスタイル”と呼ぶに
相応しいお酒ですね。

ヤス吉田:
ありがとうございます。
これからの進化を楽しみにしていてください!

吉田さん、
今日もありがとうございました!




まぐろとアボカドのタルタル風

今週のおつまみはこちら。
相性抜群のまぐろの赤身とアボカドを
角切りにして和え、タルタル風に仕立てます。

味付けはシンプルに塩、レモン汁。
レモン汁は多めに搾ってよし。
そのほうが「U yoshidagura」に合う。
千切りにした大葉をまぶして
風味にアクセントを付け、
オリーブオイルで全体をまとめる。

タルタル風に成型したまぐろと
アボカドの上に、予めスライスし
酢漬けておいた玉ねぎちゃんをのせる。
最後に刻んだイタパセさん
(イタリアンパセリ)を散らして
できあがり!

よくできました。
いただきましょーう!




レモンの酸味とお酢の酸味でダブルの
ロケットパーンチ! のはずなんだけど、
そこは肉々しいまぐろの赤身と
畑のバター・アボカドさんだ。
合わさるとサシの多いA5ランクの
ランプ肉といった濃密さで攻めてくるので
ダブルパンチくらいでむしろ清々しい。

それにしても玉ねぎの酢漬けが
いい仕事してるー。
イタパセさん(イタリアンパセリ)の
風味が最後を締めるが、
どこかで知っている風味だ!
と、しばし脳がフリーズ。

ややありて、嗚呼、
これパセリなり(パセリやんっ)……と気づく。
そっか、“イタリアン” とか付くけど
普通にパセリなのね。と、
紛らわしさこの上ナッシングゴーズオン。




「U yoshidagura」のご機嫌をうかがう。
外観は淡くイエローに輝き、
口当たりきつそうな日本酒に見える。
鼻をグラスに当てると、木の香があって
シェリー酒のような樽貯蔵の雰囲気が漂う。

口に含むと木の香を遠くに感じながら、
障らない優しいアタックに驚く。
白ワインより涼やかに滑り込む。

洋ナシやメロンのような
甘く官能的な香りと、その甘味がきて、
口中に広がるは和ナシのジューシーさと
グレープフルーツやライムを
搾ったような清冽な酸味。
抜けにピリピリとラムネの風味も感じる。

微生物がさまざまに関わり合う
伝統的な製法を用いつつも、
技術の研鑽により磨かれたAlc.13%は
奥ゆかしくも「山廃」の二文字を主張しない。




これって山廃?!

しかし、
さすがは自然界に生存する乳酸菌の力を
利用して仕込む山廃造りである。
この複雑性に富んだ味わいは
やはり能登杜氏が得意とし、
培われてきた“造り”なのだ。

まぐろとアボカドのタルタル風と合わせてみ。
山廃由来の酸のストラクチュアがあるおかげで、
Alc.13%ながら濃密濃厚な“まぐアボ”を
しっかりと受けて流す。
右から左へそのまま受け流さない!

たっぷり搾ったレモン汁と玉ねぎ酢漬けの
ダブルロケット酸味が、
「U yoshidagura」のフレッシュな酸味との
相乗効果というか三乗効果で
べらぼうにマッチンGOOOD!




右から左へ、左から右へ受けては流し、
L⇔R にノッキンオンユアドア
してるうちに
旨味の洪水に脳内トリップ!
いつの間にか昇天寸前☆
ノッキンオンヘブンズドア……
天国の扉たたいちゃってる気がする……

君は夢か幻?!
U yoshidagura ドリーミング♪
ゆら、ゆら、ゆら〜れて
ラィラィラィラ〜イ♪

ウマックス!




ヤス吉田氏曰く、
「完全なるテロワールを目指す上で
このお酒を完成させることが
新たな境地へのカギになる」

そう考えているのだとか。

日本を代表する清酒蔵でありながら、
進化の加速度を増す吉田酒造店、
その現在進行形を
いつでも感じられるお酒がこいつだ。
日本酒の未来がそこにあると言っても
過言ではない。

おぉ、おお、言うたねー日土志くん、
受けてたつべし!
こいつは定期的に飲まねばなるまいよ。
決意表明。日土志に二言なし。

ほしたらばー!







Traditional × Modern × Terrior
× Alc.13% × Yamahai Junmai
地元の原料と技から造られる
伝統の新しいスタイル!

山廃の原酒と聞くと、
インパクトのありそうなお酒に聞こえますが、
アルコール度数 13% の優しいお酒です。
U (You) は漢字で優しいという意味の"優"を表します。

米は石川の酒米、石川門。
酵母は石川で発見された金沢酵母。
製法は石川を代表とする能登杜氏集団が得意とする山廃造り。

梨のような優しい甘みと、
ライムを搾ったようなフレッシュな酸味が特徴。

まだまだ進化するであろうヤス吉田の
進化の過程をお楽しみください!





日土志が飲んでいるお酒

吉田蔵/U yoshidagura 山廃純米無濾過原酒
 

720ml はこちら 1800ml はこちら

今週のつまみ

<まぐろとアボカドのタルタル風>塩レモン・オリーブオイルじゃなくて、もちろん醤油わさびで味付けも○



サミット 西小山店 と一実屋(レモン)
 

プロフィール

水取 日土志
(みずとり ひとし)


38歳(男性・独身)。西小山在住。
近所のかがた屋酒店でお酒を買って晩酌するのが一番の楽しみ。
出世するつもりは毛頭なく、職場でもお酒のことばかり考えている。
最近、ウンチクが過ぎて部下にウザがられていることを自覚したのか、
酒屋で仕入れた情報は、もっぱら猫か、かがた屋の新人にだけ話している。
西洋かぶれの一面もある。外見からは想像できないくらいチャーミング。

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