「水曜に取り寄せたお酒で土日(週末)を楽しむ」がモットー(志向)。
毎日をゆるく生きる水取 日土志の緩ライフを毎週ゆる〜くご紹介。

さて、今週はどんな緩ライフを過ごしているでしょうか……

今週の晩酌酒 vol.86

AKABU 赤武 MOUNTAIN 純米無濾過原酒 白麹仕込 720ml

そこに山があるから……。
EARTH三部作最後の「山」を踏破せよ!



山はいい
誰が言ったか……

山はいい、山はいいぞー!
そっちはどうだー?!





近来は登山ブームで、
“山ガール”などという
新たな山岳部族も誕生している。

そのため、以前は
「なぜ山に登るのか?」の問いに対し、
ジョージ・マロリーの
「そこに山があるから」という返しが
常態化していたものだが、ここへきて
「なぜ山に登るのか?」に対し、
「そこに山ガールがいるから」を
採用しようとする動きが活発化、
学会でも発表され定説になりつつあります。

冗談はさておき、
山と酒造りは密接な関係にある。
山がなければ当然ながら美味しい水は
在り得ないからである。

こちらのお酒も美味しい水が何より。
東北・北上山地に降り注いだ雨水を
大地が永い年月をかけ磨き上げた地下水を使用。
その酒に命を吹き込み、
唯一無二の個性を生み出している。



AKABU 赤武 MOUNTAIN 純米無濾過原酒 白麹仕込 720ml

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2年程前、若干24歳にして、全国新酒鑑評会で
「金賞」を獲得した杜氏界の超新星・古舘 龍之介氏率いる
岩手の「AKABU/赤武」が続々と新作を発表。

今期、特に要注目だったのが、
低アル原酒を基軸とした実験的連作、
AKABUのEARTHシリーズ(勝手にそう呼んでる)である。

だって、一作目「SEA」、二作目「AIR」だもの。
海と空がくれば、そりゃあ次は だ。
「MOUNTAIN」(マウンテン) だ。
これを29BY EARTHシリーズ三部作の完結編と位置づける。
文句あっか? ない。




前二作それぞれの醸しのコンセプトは、
「SEA」の“心地よい爽やかな酸”および、
「AIR」の“大空をイメージした空気のような日本酒”。

それに対する今作は、
“奥行き深く…深く……” と
深山へ修行に赴く心持ち。
現代人よ、ざわついた魂を落ち着かせ、
心静かに瞑想せよ。承知!

そして今日は「山」つながりの
山賊焼きでご機嫌を伺う。



豚ヒレの山賊焼き 酢がけアレンジ

古来より山は、
奈良の三輪山に代表されるように、
信仰の対象でありました。

崇拝されるのは山そのものや、
山中の大岩が本尊となる場合など様々ですが、
山では度々怪異が起きる。

神仙住まう神聖な場所であり、
人里・里山から地続きで
もののけに遭遇する異界であって、
何が起きてもおかしくない場所。
そのため、敬して遠ざけるべき山々。

実際、山に入るのは危険が伴うわけですが、
忌み言葉があったり、山でもののけに会った話、
タブーを破った末のバッドエンディングなど
山にまつわる怖い話は各地にあり、
それらは山での不慮の事故を防ぐために
“脅し”として創られたものだったでしょうか。




もし、他に裏の目的があったとすれば、
ある物事を隠すために流布し、
山へ近づかないようにするための
カモフラージュとして役立ったかも知れません。

例えば、手塚漫画に出てくるような
気のふれた身内の隔離や禁断の情事、
人身御供といった類いの慣習の事実。

あるいは、
カモフラージュとしてだけでなく
凄惨すぎて正常な精神状態では
到底いられないような秘儀の現場を見たときに、
目の前の現実を夢物語へ変換させるための
ツールとして機能したかも知れません。

いわばカウンセラーの役目です。
狐に化かされていたと考える方が
腑に落ちることもあったでしょう。




中でも、
山神への人身御供などは恐ろしいことですが、
荒唐無稽なそれらの寓話には、
人間の畏れや営みといった先人たちの
生々しい息遣いが感じられるようで
時空を越えたマロン(ロマンね)を
掻き立てられます。

現在では深い山々にも人々は分け入って、
もしくは山など全くもって放置され、
畏怖される対象ではなくなりつつありますが、
それでも我々日本人にとって「山」は
神秘的な存在であることに変わりありませんし、
そのことを忘れておざなりにすれば、
『もののけ姫』のようにシシ神様が祟り神となって
オイラたちに祟りを成すでしょう。

気をつけなはれや!




さて、これまでを踏まえつつ、
グラスに AKABU MOUNTAIN を注ぐ。
山中でしみ出ている湧水のように
美しく澄んだクリスタル。
薄っすら黄色みがかっている。

仰々しく迎え入れると、
低アルらしい優しいアタックに肩をすかされる。
あ、肩ひじ張らなくていいんだ!
気づくと同時に
舌先から柔らかい甘味にほだされ、その後、
白麹独特の柑橘系の味わいの広がりがある。
(レモン、ミカンと追っかけグレープフルーツ)

抜ける香りにはセルフィーユなどの青い葉や
白玉粉など、吟醸酒で感じるような
上品なトーンが伴う。




それから、白麹で醸したとは思えないような
伸びやかな酸、長い余韻があり、
これらとは相反する痺れるような収斂性も内包。
いわく、神秘的。
一飲みする間に幾重にも
見過ごせないシーンが目白押し。
それこそ刻々と変化する
山の天候やそれによって映し出される
山の表情のようである。

こいつは壮大で、親しみやすい。
先程言及したような人間の営みから地続きの山ではない。
もっと観念的でより緑深く、悠久の時の中
人の手の及ばぬ神秘の山をイメージせよ。
生命の拠り所たる森、その背後の雄大な山を。

親しみやすさもそこにある。
蚊や毛虫に刺されることもない。
現実には存在しないが、
想像すればいつでも行くことができる。
君の真ん中にそびえ立つ山だ!。

山田!




ダジャレはいいから山賊焼きと合わせてみよ。
低アル原酒の軽さでは受け止めきれないと
お思いでしょうが、
そうは問屋街は合羽橋。ではなく、
そうは問屋が卸さぬ。

豚の脂身、スパイシーな黒粒こしょう
「焼肉のたれ」系の甘辛だれのくどさで
生まれる濃厚なサーブをレシーブし、
お酢をかけて酢豚風にアレンジした酸味が
絶妙なトスを上げて
ドンピシャ・オブ・ガッチャンコアタックNo.1!




白麹由来の柑橘感と
進化を止めぬ蔵が生み出す芯の強さ、
コクのある旨味、さすがはマウンテン。
全てを包み込む懐の広さよ……。

「こちら日土志、
AKABU MOUNTAIN に登頂成功。
これより下山しまウマックス!」






EARTHシリーズ三部作完結編に相応しいデキ。
AKABU、進化の過程、現在進行形!

ついでに言っておくと、
「SAKE COMPETITION 2018」の
純米大吟醸部門で、GOLDに輝いた正統派
「AKABU 純米大吟醸 極上ノ斬」も発売中である。

こちらはAKABU山脈最高峰。
AKABU MOUNTAIN と併せて
両山の登頂に挑戦して欲しいと
登山隊の日土志隊長は思っておるよ。

ちなみに8月11日は「山の日」、
たまには山のことを考えてみよう。




あ、山猫発見。

「なぜ AKABU MOUNTAIN を飲むのか?」
「そこに AKABU MOUNTAIN があるから」

ほしたらばー!




攻勢を強めるAKABU 29BY 第14弾が着弾。

低アル原酒を基軸としたAKABUのEARTHシリーズ、
「AIR」「SEA」に続く三部作完結編は、
「MOUNTAIN」(マウンテン)。

緑深く神秘的で壮大な山(MOUNTAIN)を
表現した日本酒ということで、
前作「SEA」の醸しのコンセプト
「心地よい爽やかな酸」に対し、
今作は「奥行き深く…深く…」というもの。




飲みやすい甘酸っぱさの中には、
白麹による独特の味わいの広がり、
痺れるような収斂性、伸びやかな酸、
長い余韻、と幾重にも
見過ごせないシーンが目白押し。
それこそ刻々と変化する
山の天候や表情のよう。

ここでイメージするのは、
切り立つ神秘のアルプス山脈、
神仙が住まう崑崙山、
日本の霊峰・深山。
壮大な山(MOUNTAIN)を想像しながら
心静かに、心頭滅却し、
しかれども、カジュアルにお楽しみあれ。
AKABUの進化する酒造り!

数に限りがあります。
お早目にご注文ください。





日土志が飲んでいるお酒

AKABU 赤武 MOUNTAIN 純米無濾過原酒 白麹仕込 720ml

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今週のつまみ

<豚ヒレの山賊焼き>惣菜屋さんで購入。お酢をかけて酢豚風にちょいアレンジ。



クックチャム 西小山店
 

プロフィール

水取 日土志
(みずとり ひとし)


38歳(男性・独身)。西小山在住。
近所のかがた屋酒店でお酒を買って晩酌するのが一番の楽しみ。
出世するつもりは毛頭なく、職場でもお酒のことばかり考えている。
最近、ウンチクが過ぎて部下にウザがられていることを自覚したのか、
酒屋で仕入れた情報は、もっぱら猫か、かがた屋の新人にだけ話している。
西洋かぶれの一面もある。外見からは想像できないくらいチャーミング。

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