「水曜に取り寄せたお酒で土日(週末)を楽しむ」がモットー(志向)。
毎日をゆるく生きる水取 日土志の緩ライフを毎週ゆる〜くご紹介。

さて、今週はどんな緩ライフを過ごしているでしょうか……

今週の晩酌酒 vol.70 | 2018.04.10

淡麗辛口山廃/花巴 HANATOMOE 完熟 山廃純米 無濾過生原酒

辛口ドライ! キレ & 旨味!?
新ジャンル・淡麗辛口山廃が爆誕



「就中!」


果たして何と読むか。漢字の問題ね。
正解は……「しゅうちゅう!」
ではなく……「なかんずく!」。
オイラもルビ振ってなかったら読めないし、
普段使わないけどねー。

品詞は副詞。で、肝心の意味はというと
「その中でも特に。とりわけ」って感じかな。
なんか「就活」してそうだけど、
就活中の学生のことではない。
じゃあ、ちょっと例文いくね。

「オイラ、色んなタイプのお酒が好きだ。
フレッシュなお酒もいいけど、
なかんずく(とりわけ)、
ザ・かんじゅく
が好物。

「なかんずく!」
「THE 完熟!」

そそそ、韻を踏んで
言葉遊びがしたかっただけなの。
「ま、勘づく」よね。

というわけで、今週のテーマは
「なかんずく」でも「勘づく」でもなく
「完熟!」



淡麗辛口山廃/花巴 HANATOMOE 完熟
山廃純米 無濾過生原酒



720ml はこちら 1800ml はこちら   

完熟というと普通アレよね?!
熟成酒。

熟成酒にも大きく分けると二通りあって、
ひとつは低温熟成。
搾ったお酒を摂氏5℃やもっと低い氷温で貯蔵し
じっくりとゆるやかな熟成を待つもの。

もうひとつは年間を通して冷涼で
室温が一定の蔵内や洞窟などの室(むろ)に
常温で貯蔵し、熟成を促すものがある。

熟成に関わるファクターとしては
上記の通り低温 or 常温の貯蔵温度のほか、
生のまま、もしくは火入れして貯蔵するか
という観点も挙げられる。

組み合わせると4パターンとなり、
それぞれ熟成の仕方は大きく変わるけれど、
ポスト・スクイーズ(搾った後)が
熟成のステージという点では一緒だ。
でも、この花巴の「完熟」は違うらしいんだ。

「モロミ・ジュクセー!」




「諸見塾生」
学区内の進学率No.1との呼び声高い学習塾、
「諸見塾」の生徒さんのこと。

「茂露実樹くせぇ。」
生命力が強く青々と生い茂る樹木「茂露実樹(モロミジュ)」。
年に2度、赤い実をつけ独特の芳香を放つ。
約二億年前からほとんど姿を変えていない生きた化石。

うそばっかり。

「醪(もろみ)熟成」である。
醪を熟成させるとはどういうことか。

ここでいう熟成とは、
醪の状態のまま発酵期間を
長く保つことを指すらしいのだが、
どんな利点があるのだろうか。




まずは一般的な醪について。
お酒を搾る前のドロドロの状態が醪だが、
簡単に言うとこれは、タンクに投入した
蒸米と麹と水とで発酵が進み、
溶けたお米とアルコールになって
混じり合っている状態。

醪の中では、
麹(麹菌)が蒸米でんぷんをブドウ糖に変え、
糖分をご飯にして「酵母」がアルコールと
二酸化炭素(と熱)に変える働きをしている。
(糖化と発酵が同時に進行するので
「並行複式発酵」と呼ばれます)

醪末期になるとお米の溶け方は
だんだんと弱まり、しまいには止まる。
つまり、麹による糖化が弱まるわけだ。
では、糖分の供給が止まった醪中でもなお
酵母が活動を続けるとどうなるか。

酵母によって糖分が消費されるため、
当然辛口のお酒になる。
「花巴 完熟」は、
こうした微生物の特徴を利用し、
淡麗辛口を実現したお酒だという。




しかし、
長期に発酵期間を設けると弊害もある。
酵母がアルコールを生成し続けるため、
アルコール濃度の高いお酒になる。
アルコール濃度が高まると
酵母は発酵を停止し、
さらには自己消化を引き起こすため、
香味に悪影響を与えてしまうのだ。
また、自身の活動で発生する熱が
過剰に高まることで生存できなくなる。

そんな中、
「花巴 完熟」のアルコール濃度は19度以上。
一般的な香り酵母は16度台後半から
発酵停止が起こるというのに
この試験醸造を支えた要因は何か。

花巴は酵母無添加。
奈良の天地を往来する酵母が主役。
彼らのポテンシャルを引き出すため
山廃(山卸廃止酛)により培養。

様々な微生物が関与することで
強靭な細胞膜になり、
高温下での生存率が高く、
強いアルコール耐性をもった
最強の酵母を育て上げたのだ。




通常は細かな品温管理が必須だが、
酵母の強さを信じて醪ほったらかし。
しかも、
できる限り仕込み水を減らしたという。
仕込み水が少ないってことは、
自分たちの居場所が少ないから、
少数精鋭で発酵を進めなければならない。
最強酵母とはいえ大変だったろうに……。
逆に言えば、
強靭な酵母にしか無理な芸当。

ではなぜ仕込み水を少なくしたのか
その理由は後で分かるとして
よーしよし、作ろっかおつまみ。



新じゃがと新玉と
彩り野菜のチョップドサラダ
ソース・ヴィネグレットで


今冬は恐ろしいほど野菜の値段が高騰していた。
キャベツとか一玉500円超え。買えない。

やっとこそんな厳冬期が過ぎ去り、
あれよと新じゃが、新玉、新キャベと
新物が出回る季節到来ヘヴンリー。

今までなかなか口にできなかったせいか
野菜が死ぬほど美味く感じるので今日はサラダでね。

新じゃがと新玉ねぎのほか、
今日は人参、アボカド、ズッキーニ、
彩りもよいパプリカをキューブ状に刻み
ミックスシーフードも混ぜて
チョップドサラダにしました。




何やら聞き慣れない響き、
ソース・ヴィネグレットは
(ヴィネグレットソース)
フランス料理における
最も基本的なサラダドレッシング。

お酢とサラダ油を混ぜ、
塩・胡椒で味を調えたもの。
小学校の家庭科の授業で習うやつだ。
(簡単だからお家のサラダは専らコレ)

サラダ油には精製済みのオリーブオイルを使用。
ウィキにはお酢の代わりに
レモン汁を用いても美味と書いてあるが
今日は穀物酢で。
ちろもんワインヴィネガーでもよい。

スプーンでバクバク食べると
身体の中からキレイになっていく気がする。

準備万端! バルカン半島!
いざ実食に参るチャンピョンシップ!




グラスに注ぎ、そっと香りを嗅ぐ。
ほんのりフルーティな香りと
パンや穀物の穂を思わせる香ばしさも
わずかに感じる。

ひと口。

まだ冷えているせいか
甘味は舌先に薄っすら感じる程度。
当然ながら花巴特有の酸味があるわけだけど、
ソプラノ歌手の歌声のごとく
ハイトーンで凛とした酸味が
液体をカプセル状に
コーティングしたかのような感触で
舌の上を通り、そのまま喉元へ流れていく。

だが飲み込んだ刹那、カプセルは弾け、
舌の中央から両端、下顎へと一気に
ジュワーっと酸味を伴った味わいが広がり、
飲み込んだはずの喉奥から舌の中央へと
より複雑味ある味わいが立ち返ってくる。

なるほど。
これが仕込み水を減らした理由か。
辛口淡麗のくせ、旨味が強い。
濃縮感ある。




それにしてもなんだろうか、
感じたことのあるこの飲み口、
飲み応え、後味。

……そうだっ!
ビールのそれに似ている。

ビシビシくる超辛口のドライ。
それでいて深い旨味を感じつつ、
山廃が生み出す酸によるキレ。
「淡麗旨口」。
これが花巴流のすっきり表現か!

花巴のお酒って、甘酸っぱくて、
濃醇で、発酵感があるってイメージだったけど
こんな表現もあるのね。
まだまだ隠してやがった。
やりおるな、橋本 晃明杜氏。
武者震ったわい。

もうこうなったらヤケ食い!
スプーンでサラダをムシャムシャ食う。

というわけで今週は、
「淡麗辛口も色々あるけれど、
なかんずく、完熟ってゴイスーUMAX!」




ここでいう完熟は、果物に例えると、
収穫してから熟すのではなくて
樹木に成ったまま完熟する様に似ているね。
そして、後者の方が美味いに決まってる。
なんつて。

しかも、前回の山廃うすにごり同様
総米500kg×タンク1本の小仕込みで
ヤエガキ式による上槽よ。
クラシックモダンな試験醸造「花巴」を
ぜひとも味わっておくれ。
ほしたらばー!


日土志が飲んでいるお酒

淡麗辛口山廃/
花巴 HANATOMOE 完熟 山廃純米 無濾過生原酒

720ml はこちら 1800ml はこちら

今週のつまみ

<新じゃがと新玉と彩り野菜のチョップドサラダ ソース・ヴィネグレットで>とにかく名前が長い笑



サミットストア 西小山店
〒142-0062 東京都品川区小山6-4-5
 

プロフィール

水取 日土志
(みずとり ひとし)


38歳(男性・独身)。西小山在住。
近所のかがた屋酒店でお酒を買って晩酌するのが一番の楽しみ。
出世するつもりは毛頭なく、職場でもお酒のことばかり考えている。
最近、ウンチクが過ぎて部下にウザがられていることを自覚したのか、
酒屋で仕入れた情報は、もっぱら猫か、かがた屋の新人にだけ話している。
西洋かぶれの一面もある。外見からは想像できないくらいチャーミング。

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